離婚入門(氏・戸籍)
1.離婚届けと離婚をした妻または夫の氏の関係
婚姻する際に氏を改めた妻または夫は、離婚をした場合には、法律上、当然に婚姻前の氏(いわゆる旧姓)に戻ること(復氏)となり、原則として婚姻前の戸籍に入籍することとなります。
しかし、婚姻前の戸籍が除籍されている場合(例えば、両親が既に他界してしまっている場合など)は、婚姻前の戸籍に入籍することができないので、新たに戸籍が編製されることとなります。なお、婚姻前の戸籍が現存している場合であっても、復氏した者が新戸籍の編製を申し出た場合も新戸籍が編製されることになります。
また、婚姻中に称していた氏を離婚後も使用し続けたい場合には、離婚の日から3か月以内に、「離婚の際に称していた氏を称する届」(いわゆる婚氏続称の届出)をすることにより、その氏を使用することができます。
そして、離婚の届出と同時に婚氏続称の届出をした場合には、ただちに婚姻中に称していた氏で新戸籍が編製されることとなります。
なお、離婚の日から3か月以内に婚氏続称の届出をしなかった場合において、やはり婚姻中の氏を名乗りたいという場合には、家庭裁判所に氏の変更許可の申立てをする必要が生じますが、この場合は容易に変更が許可されない傾向にあります。
2.離婚と子の氏
両親が離婚しても子の氏は変更されません。
そして、子が親と氏を異にしている場合には、子はその親の戸籍に入ることはできません。そのため、例えば、母親が親権を持つこととなったとしても、婚姻中の戸籍の筆頭者が父親であった場合には、戸籍上は離婚後も父親の戸籍に子の名前が残ることとなります。もっとも子の名前は残るものの、この場合、戸籍上に、もう一方の親が親権者であるとの記載がなされることとなる。
なお、離婚の際に、親権者となった配偶者が、婚氏続称の届出をした場合には、形式上は、氏が婚姻中と離婚後とで同一となるものの、法律上は婚姻中の氏とは別の氏と考えられているため、やはり子の名前は筆頭者である相手方配偶者の戸籍に記載されることになります。
そのため、氏を変更した親が子を自分の戸籍に入れたい場合には、別途、家庭裁判所に「子の氏の変更許可申立て」をする必要があります。