お金の問題

1.財産分与の対象になる財産にはどういうものがありますか?

→財産分与とは、婚姻生活中に夫婦で築いた財産(共有財産といいます)について離婚する際に、夫婦で分け合うというものです。
例えば、夫が会社務めで、妻が専業主婦という夫婦の場合には、婚姻後に夫が会社から支給された給与を夫名義の預金口座で管理していたとしても、離婚時の預金額は財産分与の対象となり、多くの場合、妻に預金額の50%を財産分与として渡す必要が生じます。
そのほか、不動産や株式、生命保険の解約返戻金なども婚姻生活中のお金から支払いがなされている場合には財産分与の対象となり得ます。

2.婚姻中に、自分の実父母から相続によって引き継いだ財産も財産分与の対象になりますか?

→対象にはなりません。上記1に記載しました通り、財産分与は夫婦が共同で築いた財産を離婚時に分け合う制度ですので、夫婦の協力とは無関係に得た相続財産は財産分与の対象にはなりません。
また、婚姻前から夫婦の一方が既に持っていた財産も分与の対象外です。

3.妻が不貞行為をしたことが原因で離婚する場合でも財産分与はしないといけないのですか?

→はい、例え妻側が離婚の原因を作った場合であっても、財産分与は行わなければなりません。離婚の原因を作った側の配偶者(有責配偶者といいます)であっても、婚姻中に築いた財産は夫婦が共同で築いたものと考えられているため、裁判所の認定においては、財産分与にあたってあまり考慮されない傾向にあります。

4.夫とは長期間別居をしていますが、財産分与をする時に別居期間は考慮されますか?

→考慮される可能性が高いといえます。
財産分与の算定をするにあたっては、具体的にいつの時点の財産が分与の対象となるかが問題になりますが、離婚前に別居をしている場合には、別居開始時点に存在した財産が分与の対象となると裁判所が判断することが多い傾向にあります。
これは、先にも述べましたように、財産分与が、夫婦で築き上げた財産を離婚にあたって分け合うという制度であるため、別居中に夫が築いた財産は夫が一人で築いた財産であると判断されやすいためです。
もっとも、一般的には別居時と判断されることが多いですが、例えば、妻が夫との別居中も未成年の子を養育し続けた場合など、個別の事情によっては別居生活が長くても、離婚をする時点での財産が分与の対象と判断される可能性もないとは言えません。

5.夫の不貞を理由に離婚をしようと思いますが、慰謝料は請求できますか?

→不貞をしたことを裏付ける証拠がある場合には、多くの場合、慰謝料を請求できます。
但し、慰謝料の金額は、不貞行為の期間や頻度、婚姻期間の長さや、有責配偶者の収入等によって事案ごとに差があります。
おおよその相場は50万円から300万円の範囲かと思いますが、個々の事情によって増減する可能性もあります。

6.夫のDVや、ギャンブル依存などを理由に離婚するときも慰謝料請求はできますか?

→暴力や、浪費の程度にもよりますが慰謝料を請求できる場合があります。

7.不倫をした夫に慰謝料を支払うという合意書を作成してもらいましたが、裁判になった場合にはこのような合意書は有効ですか?

→相場からみてあまりに高額な慰謝料についての合意書は、裁判になった場合には無効と判断されることもあり得ます。
もっとも、個々の事情にもよりますが、上記5の相場を多少上回る程度の金額であれば、そうした誓約書も裁判で有効と判断されることは十分考えられます。

8.夫と別居中ですが、生活費を夫に支払ってもらえない場合はどうすればいいですか?

→家庭裁判所に婚姻費用分担の調停を申し立てることで生活費の支払いについて調停委員を交えて相手方と話し合いをすることができます。話し合いで生活費の金額が合意できない場合または相手方が調停に出席してこなかった場合には裁判所に妥当な生活費を決めてもらうことができます。

9.調停で毎月の生活費(または養育費)を取り決めましたが、夫がその通りに支払いをしてきてくれません。どうしたらいいですか?

→調停で生活費を月額いくら支払うという取り決めをした場合には、その合意書(調停調書)をもとに、相手の財産(給料や預貯金など)を差し押さえることができますので、差押えにより毎月の支払いを強制的に回収することも可能です。
もっとも、実際に差押えを行うにあたっては、相手に資産があり、かつ具体的な預貯金口座が分かっているなど財産を特定する必要があることなどから、弁護士に相談されてください。

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