有責配偶者からの離婚はできないのか?

裁判所の離婚考慮要素


離婚原因をつくった側の配偶者を有責配偶者といいます。
典型的な例は、不貞行為をした側の配偶者です。有責配偶者からの離婚請求は裁判では一般に、なかなか認められないのが現状です。
しかし、有責配偶者からの離婚であっても、(1)婚姻期間と比較して、相当期間の別居期間があり、(2)両親の間に未成熟子がいないこと、(3)相手方配偶者が離婚により、精神的、経済的に過酷な状況におかれるなど、相手に大きなダメージを受ける事情がないこと といった各条件を満たす場合には裁判で例外的に離婚が認められます。

上記の(1)から(3)までの要件については、(1)の別居期間が長期にわたるかという点と、(3)の相手方配偶者が過酷な状況におかれるかという点は、裁判官の価値判断によっても分かれるところですので、具体的にどのようなケースであれば(1)と(3)の要件を満たすことになるかを明確に予測することは困難です。
また、(2)の未成熟子がいないことという要件についても、未成熟子とは経済的に自立していない子を意味するため、高校生などは、通常は未成熟子に該当しますが、小学生などの10歳前後の子供に比べればある程度は成熟していると言え、高校生などの場合には未成熟子がいる場合でも離婚が認められている事例もあります。

有責配偶者からの離婚請求の可否

有責配偶者からの離婚請求については、上記(1)から(3)までの要件を総合的に考慮して裁判官が離婚を認めてもよいかを判断することとなりますが、おおよその傾向として、やはり別居期間が5年程度はないと有責配偶者からの離婚請求を裁判で認めてもらうことは難しい傾向にあると言えます。

とはいえ、離婚調停から離婚裁判までの手続きを行っていく中で、相手方配偶者の離婚後の生活も考慮した真摯な離婚条件の提示を行っていくことで、話し合いで離婚が成立することは考えらえます。

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